昭和22年11月

芸術現象のはげしい細分化の傾向は、こんにちかえって本質を逸脱した多くの類型を瀰漫させ、新しいアカデミズムの危機と末期的混乱を呼んでいます。

創造美術会はこの反省の上に立ち、各作家がその主体性に基づくオリジナルな芸術を創造するために、最も自由で活動的な研鑚の場を作ることを目的としています。

わが会はいわゆる洋画・日本画・染織画・彫刻・陶芸といろいろな手法による作家を包含していますが、それらは空間の造形という意味において全く本質的な差異を認められず、審査陳列その他運営上すべて同格に扱う態度をとっています。そして自由な材料の選択と、自由な手法による制作、思想の差異をのり越えた積極的なふれ合いこそ、常に自らの芸術目標を確立し脱皮する契機となることを信じています。

またわが会は画壇の根強い封建制を排し、真に民主的で個性と人間性を尊重する運営を全うするために、全員が集団行動の基本である誠意と責任と互譲の精神を忘れず、いつまでも若々しい芸術創造の母体でありたいと念じています。

意欲的な同意者と支持者に対しわが会は広く門戸を開き、明日への新しい価値の創造に共に前進することを期しています。